cinema staffデビュー15周年ツアー
We are Phenomenal
ツアーファイナルを観てきた。
今年開業したばかりの、東急歌舞伎町タワーの地下4階にあるZepp shinjuku
チケットはSOLD OUT。
これを聞いて、なんだかすごいことになりそうな…と、事の重大さを実感し始めた。
しかしいざ始まってみると、いつものcinema staffが、いつも通り、でも期待を裏切らない確かな熱量でそこにいた。15周年だとか、ファイナルだとか、そんなのはただの飾りにしか過ぎなかったんだなあと思った。
彼らはいわゆるライブバンド。
ライブを積み重ねながら、たまにタイアップなんかもありながら、爆発的に売れることは無くとも揺るぎない信念のもとに彼らにしか出来ない音楽を確立してきた。そして「『今』が一番かっこいい」と自負するだけの自信もある。
もはやライブ抜きでは彼らを語ることは出来ない。と言いつつシネマを知らない人にシネマのライブってどんな感じ?と聞かれたら語彙力が幼稚園児もしくはギャルになってしまうので、とにかく来いとしか言えない。そういうライブをやるバンド。
ライブライブ言い過ぎだな、だけどほんとにそういうこと。
曲の感想。
①聴けたことが夢みたいだった部門(順不同)
「返して」「青写真」「lost/stand/alone」
ブルプリeve熱源の頃はちょうどシネマから少し離れていた時期でリリースツアーも行ってないので、どれも生で聴いたのは初めて。
青写真はあのはやる気持ちを抑えられないようなイントロ(もっと言うなら7小節目からのドラムの裏打ちハイハット)からしてすでにもう大好きで、名古屋で演奏されたことを知ってとてもとても羨ましかった。数日後に公式が動画を上げていたのを見て、これはもしかしたら今後もある…!?と思ったらまさか。
lost〜はツアー終盤の金沢で演奏された(よね?)
この日のTwitterでのシネマ界隈のざわつきっぷりは忘れない。
「話したいんだ これからのことを 嘘みたいな 本当の話を」
って歌詞はなかなか今回のコンセプトに沿ってるな、と思った。
返して は単純にシネマの中で好きな曲五本指に入るのでめちゃくちゃ嬉しかった。この曲の歌詞は他の曲と比べて若干毛色が違うというか、非現実的でスケールが大きい描写の中に個々の小さな営みを感じさせる不思議な歌詞。三島さんの言葉選びが光りまくっている曲。
これを聴いてた時に、そういえばlost〜に「そんな声で泣かないでくれ」「そんな声で起こさないでくれ」、返してには「君は(中略)見たことの無い顔をした」って歌詞があって、これらどれも聴き手の想像に委ねてること今更気づいた。どれも言葉で表現できないものだから、その時時でいくらでも表情を変える歌詞たち。
②もうどうにでもな~れと思った部門
「優しくしないで」「Poltergeist」
至極当然です。
返して が終わり一息ついたと思ったら、
三島さんの「ダンスタイムです歌舞伎町」の声に「 」となり、左側からやってくる人波に押され始めたところでやっと「あ………!」と気付いた。人間信じられないことが起こると本当に思考止まるらしい。他の公演でこの曲が演奏されたことを知るたびに、ぜひファイナルではダンスタイムです新宿をお願いしたい…と思っていてそれが叶った瞬間だというのに。[歌舞伎町]というワードはあまりにも強すぎる。
「窓辺にいるだけなのさ」で4回上げた拳で思い出すのはやっぱりあの日のカウンターアクションのことだった。力込めすぎた。
あと周りの人とぶつかりまくるせいでスマホショルダーの紐が肩からずり落ちて、宙ぶらりんのスマホを左手でずっと掴みながら右手を上げていた。手を離したら床に落ちて終了するところだった。こわい。
その次のPoltergeistでは、もはや顔を正面に向けるのもやっと。この2曲並べるのはそりゃもう大変よ(?)
間奏でセンターマイクを見るとそこには飯田さんが立っていた。辻さんはもう私の視界から見切れてどこにもいない。
三島さんの「君は救えない」がうっすら耳に入ってきたけど私はもうぐちゃぐちゃ過ぎて何がなんだか。この曲は人の体と頭が別々になる。大人見できる日は永遠に来ない。というわけで映像化お待ちしてます。
③面白い順番じゃねえかと思った部門
「想像力」→「海底」→「陸の孤島」
海底のラストの「いつか想像力で地上へ」
この「想像力」が単なる言葉ではなく「想像力」という曲をそのものを指しているとしたら…?と思ってしまったのでこれは近々考察したい。
そして海底から陸の孤島という、海と陸の対称性。絶望に満ちた場所の中でも「最低を繰り返してそれでもなお生きたい」「生命を鳴らせよ」と、自らを奮い立たせるところは共通している。
「海底より愛を込めて」のアルバムあたりからだろうか、シネマの曲に生き死にの概念が増えるようになったのは。より自分に重ね合わせやすくなったと思う。
④思考が巡った部門
「flugel」「望郷」
flugelは結ばれてはいけない二人を歌った刹那的な曲だと思っている。ラストの「おやすみ 春が来るまで」の部分を聴いた時に新たな解釈が生まれてしまい、更にこの二人に残酷な運命を辿らせる救いのない曲になってしまった。(すべて個人の解釈なのであしからず) (昔の某ドラマの電車の中でのラストシーンそのもの)
これがライブの力なのだろうか。日常の中で聴いていてもいつか気付いたのだろうか。
飯田さんのMC。
「心が震える方を選んで」という趣旨。
このMCを聴いて何故か私は、自分とシネマ、一対一の狭い世界につい置きかえてしまった。
もちろん互いに心を震わせて共鳴し合うことが一番だけど、それってめちゃくちゃすごい奇跡で。
何かを好きでいるのにも気力と努力と体力が必要で、どれかが欠ければ成立しないことだってあり得る。だからいつでも壊れそうなバランスでお互い立っている。
彼らはいつでも心を震わせてくれる存在に違いないと思う。思うんだけど、人生何があるか分からない。私だって誰だってこれから先シネマよりも心が震える存在が現れないなんて言い切れない。もしそちらの存在を選ぶ時が来るとしたら?
もしも、何らの理由で、どうしても今は心が震えねえわって時が来たら…?
でも、それでも、
俺らと響き合ってくれ!という押し付けじゃなくて、響き合う相手も、タイミングも、決めるのはあくまでもあなた。
それがあなたにとって必要な幸せ。
と言われているのかな…
この望郷という曲もその時によって面白いくらいに表情を変える曲だと思う。
前衛懐古で聴いた時は、制作当時のメンバーの苦悩を思って涙し
人見記念で聴いた時は来るべき夜明けを感じた。
そして今回。
「あなたは手を離しても歩いていけるだろう」の言葉が、いつか私の背中を押してくれる存在になる気がした。
なんかすごいネガティブ思想だけど、本当に自分の心の支えになった存在って、ちょっとやそっとじゃ忘れないし、心の中から無くならないから、もしそういう日が訪れたとしても必ずまたいつかcinema staffのもとへ帰ってくることができるはず。
てか私すでにそれ経験してたわ。(おい)
間違いなく朝は来るよ。
朝へたどり着いたら、二人は一人ずつになる。
あなたは手を離しても歩いていけるだろう。故郷へ。
さっき聴いた青写真の歌詞を都合よく切り取って繋げたら想像以上に飯田さんのMCに対しての自分の解釈とぴったり合った。
兎にも角にもこの望郷が、今回一番頭を使って聴いた曲だった。
希望の残骸。
人見で聴いた時に「これは今夜限りのものなの?定番化しないの?」と思っていたイントロの飯田さんのアカペラをもう一度聴けて感動。
歌い出しの前に軽く咳払いしてたように聞こえた。
これは今年の夏あたりからこの曲の良さにじわじわとハマり、いつの間にか五本の指に入るくらいまで私の中で存在感を増した曲。
「負け犬の遠吠えに〜」で一瞬落ちてそこからイレギュラーな感じで進みラスサビで解き放たれるのが好き。
HYPER CHANTの冒頭で、「行こう!」と叫んだ飯田さんの声。
歌以外のところで今まであんなにトーン上がったことあるか?ってくらい、高揚感が伝わってきた。
どこまでも走っていける足を手に入れたそんな感覚。
今回15周年ツアーということもあり、
今まであまりやることが無かった曲も放出しますとのことだったので、
地元とファイナル、2公演しか参戦できない私は各地であんな曲やこんな曲が披露されたのを知るたびに「○○や△△や□□なんかもやるんじゃ…!?」と期待を繰り広げた。
結果私が期待したそれらの曲は全くやらなかったのだが、もうそんなことを考えていたことすら忘れてしまっていた。シネマの曲であれば、なんでも良いんだ結局は。当たり前だけど、聴いてガッカリする曲なんて無いもの。
あの日のあのセットリストが、15周年を迎えたcinema staffのベスト。
各地で披露された曲、なぜ今回やるに至ったのかはぜひファニコンで語ってくださいよろしくお願いします。特に小説家とか小説家とか世紀の発見とか。
さて次はmole17周年イベント
ツアー終了後一発目に選ばれたのは私の地元札幌でした。いいのか。嬉しいけど。
セトリが全くもって予想不可能だな。きっとまたどえらいことになるだろうから終わったらまたここに書こう。。