Hello,Today(2023.10.7)

その昔、某ガールズバンドが「10年後の8月 また出会えるのを信じて」と歌った10年後に本当に再結成するというドラマチックなことをやってのけた時があった。

 


自分の大好きなバンドでもそんなことが起こるとは…

 

 

2013年5月18日。

UNDER THE COUNTER 解散ライブ

End roll with you@渋谷屋根裏

 

この日、ライブを見るためだけに初めて一人で北海道を飛び出した。初めての一人での遠征。当時大学生。

東京の交通網はやばいと聞いて大学のパソコンでずっと電車の乗り方を調べてた。

 

 

2023年10月7日。

UNDER THE COUNTER 一夜限りの復活ライブ

Hello, Today@渋谷LUSH

あれから10年。「あの時、行って良かった」という充実感は、ライブ遠征という生きがいを私にくれた。色んなバンドを追いかけて経験を重ねて、渋谷までなら何も見ないで来れるようになった。

高速道路の渋滞で空港に到着するのが遅れ、乗る予定の飛行機に間に合わず予定が大幅に狂うというトラブルがあったものの、そんなことすら乗り越えた。私にしては本当に強くなったものだ。

 

開場時間には間に合わず、LUSHに到着したのは18:15くらい。

会場に入ると、サニーサニーのアコースティックバージョンがいきなり耳に飛び込む。

すげえ、UNDER THE COUNTERの曲が流れてる。

解散ライブ以降はずっと自分のイヤホンで、自分しか聴いてなかった曲が、しかもちょっと聴いたことないバージョンで、人がたくさんいる空間に流れてる……???というなんとも不思議な気持ちになった。

 

そして随分と音質の荒いLOSERも流れてた。

アウトロに「錆びつく景色」というワードが入っていた。きっと地方民が入手困難な音源に入ってるやつだ、きっと。くそう。

 

すでに半分くらい埋まってるフロア。

ここにいる人はみんな同世代やほんの少し上の世代なのかなと思うと謎の安心感。

 

私と同じエンドロールウィズユーTを着てる人がちらほらいた。

私はあの日のライブが終わった後に購入し、実家を出た時にも一人暮らしの部屋へちゃんと連れてきたけど日常で着ることなど無く、ずっとしまってあった。今回初めてちゃんと袖を通した(洗濯はした)

私もみんなも10年間取っておいたのえらい。この日が来るなんて想像もしてなかったのにね。それってつまりそういうことだよね。

 

 

開演直前に何気なく後ろを見てみると、すごい数の人。ドアのギリギリ、バーカウンターのギリギリまで。

みんながいかにこの日を待ち望んでいたのかがすごくよく分かった。こりゃチケットも2時間で売り切れるわ。発売日、仕事休みで本当に本当に良かった。店長ありがとう。

 

 

10分ほど押して、開演。

メンバーが入ってくる。

Twitterでの匂わせ動画(?)で近影は把握していたものの、やっぱりこの顔が揃うと懐かしさを感じる。

関谷さんは相変わらず目力がある。大隅さんはずいぶんと髪が短くなっていた。ヨシムラさんの素朴な青年感も変わらず。

ゆーこさんは、私の前にいた背の高いメンズ二人に隠れててあまり見えなかった。でも時折見えた時にはやっぱり相変わらず華奢でおっとりした雰囲気で、なのにあんなにドカドカとパワフルにドラムを叩く姿はやっぱりとてもかっこいい。10年ぶりにスティック握ったって本当ですか?私が唯一憧れの念を抱く女性ミュージシャン(元)は紛れもなくゆーこさん。

 

 

ここから曲のこと

長く書いてるのもあれば短くしか書いてないのもあるけどどの曲も全部大好きです。

その時の感想というより曲自体への感想や思い出話になってる部分もあるけどしゃーない。

 

 

1.pepe

1stアルバムPOOL OF CIDERの一番最初の曲。

やっぱりこれだよね〜と、ライブに来たのたった2回目なのになぜか納得した。

(いや、LOSERだったとしても同じこと思ったかもしれない。つまりこれ原点にして頂点のアルバム)

いきなり初期の曲から始まるあたりが、本当に結成メンバーが集まったんだということを実感させる。

地球儀まわして酔いまわる。こんな歌詞書ける人他にいるか。

 

2.HIGHWAY,MYWAY

「階段は七色」という歌詞に合わせているのかとてもカラフルな照明だったのが印象的。

サビで一斉に手が上がる。

この2曲で、本当にこのライブは夢じゃないのかとか、あー昔ずっと聴いてた曲だ…とか、心の中がいっぱいになりすぎてすでに涙ボロボロ。

 

 

3.モダンライフ

私の中ではアイワナ、ミソラに並ぶ名曲。

涙は乾き始めてひたすら楽しむモードに入る。

「なんとなく頷いた 傷つくこと無いように」これは大人になると響く歌詞。

セブンスターを吸う男性は無条件にかっこいい、という謎意識を高2の私に植え付けたのはこの曲。(今も若干そう思う)

 

4.ROKETTA

モダンライフのアウトロから繋ぐ形で。

曲名言ってたのこれだけだったかな。

 

5.スプリンクラー

最初タイトル思い出せなくて中盤でフワッと降りてきた…ごめん…最近日当たり悪い部屋に引っ越してちょうどこの曲のことをよく思い出していたのでタイムリーっちゃタイムリー。ビタミン不足になるのか。

 

6.temptation

あのシュールなPV、メンバー(というか主に関谷さん)は今どう思っているんだろうとばかり考えてた。

 

7.GREAT GREEN
正真正銘、私が彼らに出会った曲。PV、ギターソロで手がデカくなったりするよなあと思い出してた。
コーヒーに入れたミルクの量で〜とか、モノクロの夕刊は〜の歌詞はマジで天才だなあと改めて噛み締めた。

 

8.ピンチヒッターの憂鬱
ここで関谷さんはカープの帽子をかぶる。今年は2位でしたね。余談だけど昔の会報で黒田新井のFAを嘆いていた関谷さん、数年後二人が戻ってきて優勝だなんて、すげえドラマでしたよね。
「ツーエンドスリー」に時代を感じる。今は逆だから。
ヨシムラさんのギターソロの前の「3,4!!」で手上げてたの私だけだった(気がする)けど最高に痺れたし気持ち良かった。
そのまま、最終回の大舞台〜になだれ込んでいく感じ、ピックスクラッチ、ワンツースリーでキメるのも、全部最高。こんなにライブ映えする曲だったんだ。何度でも聴きたい。この日の本編ベストアクト。

 

9.sohappy,unhappy
まさかこれやるか!と完全に油断してた。誰にだってなれるからソウハピー、誰にだってなれやしないからアンハピー、この対比深すぎるだろ。

 

10.サンデーナイト
あんなまったりした感じなのに、ライブだと縦にノリたくなる不思議な曲だなあと気付く。
最初のリズム刻むのあれ絶対めちゃくちゃ集中力いるだろうな…

 

11.carrot
一本でもニンジンなんて使い古されたネタをロックンロールに乗せてかっこよく歌えちゃうのすごい。サビのメロディーがとてもハッピー。
ELECTRIC RAYS持ってなくてニコ動で聴いてたけどそろそろ買おうかな、そうしないとプレイリストに入れられない。

 

12.ノー・セラピー
大隅さんの「これやろうよって言って。メンバーは『ええ…』みたいな感じだったけど。もし(演奏が)良ければSNSで広めて」との前置きから始まるもんだから、どんなマニアックな曲だと思ったらまさか。いやこれみんな大好きでしょ。でも全員ハードな演奏だから、演る側のええ…の気持ちも分からなくはない…
ヨシムラさんのタイミングで始めて、と。
音が変わるタイミングで照明の色も変わってた。
この曲、本当にいつ何時聴いても100%かっこいい。こんな濃密な曲ライブで聴けていいんですか。ええ…と言いながらもやってくれてありがとう。

 

13.賛美歌
ノーセラピーからのこれ。ジェットコースターかよ。
「手  を」の緊張感…
信じられるのは自分の中の神様だけ。歳を重ねるとよりその思いが強くなるね。

 

14.teenage wosteland 
「青春時代に作った曲が大半で」「青春とはなんぞや、という曲です」の前置きでこの曲しか無いとピンときた。
解散ライブの時は、彼らはバンド活動を終えることで青春というはしかが治ってしまうのかなあ、大人にならなきゃ、現実に生きなきゃならないのかと思わされて印象的だった。
でも今回は自分のことに置き換えてみた。
今じゃ周りは結婚だ子育てだやっているのに自分は相変わらずライブで拳を上げているのだから、これって今でも青春してるってことでいいかしら。

 

15.Don't cry Babe
解散ライブが終わってずっとUTCしか聴けずにいた時に遅ればせながら魅力に気付いた曲。「あーもーいーや あーもーどーせ そーいーながら空を見ろ」で夜の渋谷のライブハウスの天井に青空が見えましたマジで(幻覚) 

 

16.tricolor 
フォロワーさんが聴きたいと言っていた曲なのでもうほんとにおめでとうございますって気持ち。「雨に打たれて風に吹かれて日に照らされて虫に食われて」、でも綻びに色があふれた…なんて希望に満ちているのだ。
サビ前の高揚感とサビで一気に突き抜ける感じ好き。

 

17.アイワナ
アイのワナは「シャ・バ・ダ・バ」をフロアで歌うなんて思ってなかったのでめちゃくちゃ嬉しかった…
本編最後、なんかほっこりと終えた感じ。手拍子のせいかな。この曲の言葉遊びが一番好き。


en1.ミソラ
解散ライブの時、この曲はこの日に演奏されるために生まれた曲なのかってくらい切なく悲しく聴こえた。この景色が永遠に失われずにずっと残ればいいのに、それがかなわないことが悲しかった。帰りの飛行機で、曲の世界観にも似たオレンジ色の太陽を見ながらこれを聴き、一人泣きまくった曲。

だけど今回は良い意味で軽い気持ちで聴けた。
今日と言う日も、目や頭にどれだけ強く焼き付けたつもりでも日を追うごとに少しずつ忘れていく。悲しいけどそれを繰り返していくしかないんだという悟りや諦め、それに耐えていく心がこの10年で鍛えられたからなんだと思う。私も少しは大人になったのか。


en2.Hello,Today
1stアルバム最後の曲。

前がマイゴッドの裏のヨシムラさんのギターがクレイジーだった。エフェクターとか全然分からないけどどうやったらあんな音出るの。

 

この曲の前に関谷さんが言った「元気でいろよ」の一言。それだけで心がぎゅーーっとなりすぎて、冒頭の歌詞が頭に入ってこなかった…
解散ライブの時の「幸せになれよ」の言葉を思い出した。
また会えるのかどうかも分からない人達へ向けて、幸せで、元気で、そんなことを願える関谷さんの優しさ。
この10年の間に個人的に(というかそれだけ年数あれば誰しもそうだろうけど)色んなことがあって、生きるのをやめたくなった時もあった。でも今こうやってなんとか元気で生きているから彼らにまた会えた、たったそれだけなのにすごく嬉しいというか、尊い事だなあと思った。


解散ライブの一番最後の曲もこの曲だった。 
そしてこのライブもHello,Todayの名前を冠している。彼らの象徴でもある曲。信念が詰まっているんだなあと、歌詞一つ一つを噛み締めながら聴いて改めて思った。

 

wen.モダンライフ
「もうやれる曲無いんだよね」と全員口を揃えて言うので、今日やった曲の中からのおかわりタイム。「もう一回最初からやってー!」の声に「死ぬわw」と関谷さん。
フロアからの声でこの曲に決まったわけだが、(誰かHANGOVERって言ってたけどシブすぎる)

関谷さん、もう声出るか分からねえ、出ないところは歌ってくれ、と。「任せろー!」の声。
イントロでさっきは少なかったオイオイコールが全開。声出ない所というか終始ほぼ関谷さんとフロアの大合唱だった。他のバンドのライブで大声で歌ったら白い目で見られるからこんなに堂々と大声で一緒に歌えてしまったことで私はここで精根尽き果てたし隣では軽いモッシュが起きてた。やっぱりこの曲が持つ力はすごい。何度でも聴きたい、大名曲。

 


ここからMCのこと。

大隅さーん!!」と呼ばれて「はい大隅ですー」のユルさに笑った。
小さい子が「ようへいさ〜ん」って何度も呼んでてかわいかった。

去年の関谷さんの爆誕不惑祭の時にヨシムラさんがゲスト出演する予定だったが、体調不良で出演キャンセルになった。前日にキッチンでお酒を飲んだあと血まみれで倒れていたのを家族が発見して救急車で運ばれ、診断結果が頚椎骨折。お酒回って倒れてそうなったってことだよね?出られなくなったことは知っていたけど、風邪とかそういうレベルだと思っていた。そんな大変な事態だったとは。
そしてヨシムラさんが出られなくなったことで、裏で仕掛けられていたオリメン全員集合サプライズ計画が流れてしまった。そういうこともあったり、Twitterに匂わせ動画を載せたら予想以上の反響があったりしたということで今回復活の運びとなったとか。

ゆーこさんは淡い色と鮮やかな色の衣装を2種類持ってきていて、ヨシムラさんが「どっちがいい?」と聞かれて「鮮やかな方が良いんじゃない? と言ったら「私はこっち(淡い方)が着たいの」って言われてじゃあなんで俺に聞いたんだよ!と。それに対して「女ってそういうもんなのよ!」と関谷さん。そういえば昔の会報で、二人は犬猿の仲(?)とか言ってたな…
関谷さんの衣装はカラシ色のパジャマみたいな服を却下されて今着ている服もアイロンかけてもらいましたとのこと。

「解散してからも曲を覚えててくれて、今日ここに集まってくれたことに感謝しています」と何度も言っていた。いや実際ものすごいことだもん。ほんとに。復活するなんてあり得ないだろうと思いながらもみんな心の何処かでずっとこの日が来ることを願っていたんだから。
そして驚くことに今日始めてUTCを見るという人が数名。メンバーが言う「各サブスクリプション」で出会ったのかな。


ライブ、次もやるってことは考えてないけど…のあと、
「洋平さんがもう一回頚椎折ればやるかも」「ヨシムラと関谷は今日をもって脱退するので、次は大隅さんが企画して進めてね」と丸投げ。
40代のおっさん()3人によるMCは終始ゆるゆるだった。
ゆーこさんは、「メンバーみんな歳を取りましたが…ひとり、変わらない方が…」と関谷さんに話を振られた時に「歳取りました〜」と控えめでかわいい声でお話されていた。
活動していた当時、飲み会は男だけ来てゆーこさんは全然来なかったよね!と言われていたけどさすがに今回は行くらしい。

 

お客さんは男女半々くらいで、ガヤを入れるのはだいたい男性。
私が普段行くライブは圧倒的に男性比率少ないからこういう暑苦しい感じ、すごく良いなと思った。ゆーこさんカワイー!!って叫んでもなんか微笑ましい。(実際かわいいし)

 

 


彼らの曲はポップで聴きやすくて、でもちゃんと背景にはロックンロール精神があって、関谷さんの書く歌詞は韻踏んだりひねくれたりしてて、唯一無二の面白さがある。
昔はその「聴きやすい」「ひねくれた」の部分を気に入って聴いていた。
しかし解散後、いい大人になってから聴くとその特徴的な歌詞の中に、今の自分に大いに響く、ハッとさせられるメッセージがこもっていることに気付かされ、純粋に「良い曲」だなあと感じることが多々あった。


UNDER THE COUNTERに夢中だった高校時代。学校の行き帰りは友達とバスに乗って喋りながら帰るよりも、一人でイヤホンで音楽聴いているほうが楽しい。そんな学生だった。(友人はちゃんといたよ)

その頃の自分に伝えたいことを考えていると、「大好きな音楽のためにどこへでも行けるようになった自分がいる」「音楽のお陰で今を一番楽しめている」「この音楽を大切にしていて良かったなと思える瞬間がある」といったことが浮かんだ。

特に3つ目。

彼らが残した曲は、私の青春そのものと言ってもいいかもしれない。当時をちょっと懐かしんでみたくなった時、たまに引っ張り出して聴いてみる。あーやっぱり今聴いてもかっこいいなあ。そんなことを繰り返した結果、2023年の今まで存在が消えること無くずっと心の中にあり続けていた。そして、10年前に一度終止符を打ったあのバンドと一緒に今を共有するという、奇跡のような夜に立ち会うことができた。

過去から今までずっと繋ぎ守ってきた自分の気持ちが実を結んだ気がした。

そしてあの時、10代の自分も隣にいた。そんな気もした。

 

次回はまた10年後にでもやるのだろうか。

それともこのままやらずに終わるのか。

どちらに転ぶのかは誰にも分からないけど、もしもやる時が来たら、また何を差し置いてでも行くんだろうな。

でももしそうなったら、活動期間よりも復活ライブを待つ期間のほうが長くなってるじゃん…と思ったけど、それでも良いんだ。活動がなくてもそれだけずっと心の中に残り続けているということだから。

関谷さんが言ったとおり、元気でいるので、気が向いたらまたやってくださいね。